先生、ママを責めないで!先生がママの味方なのが良いと思う理由
この記事の目次
幼稚園の先生とか保育士とか、そういった支援に関わる人ってお母さんの味方であった方が良いと思うんだ。
こんにちは。今回の記事は、幼稚園の先生とか保育士とか、その他こういった人の支援に関わる人って母親の味方であった方が良いと思うっていう話です。
幼稚園の先生とか、保育士さんとかって、やっぱりそういう保育のこととか勉強してきているわけで、素人であるママさん方よりは専門知識が多いだろうとは思うんです。それは当然ですよね、勉強してきているんだから。
だから「もっとこうした方が良い」とか、「こういう小さい子はこうだからこうするべき」とか教えてあげたくなるだろうし、場合に寄ったら「こんなんダメなのに!!」って批判したくなることもあるだろうと思うんですよ。
でもね、そこはグッと抑えて、とりあえずママさん方の味方であってほしい…というか味方であった方が良いと思うんですよね。
ではなぜ、私がそう思うのかについてのお話を記事にしていこうと思っています。
ママの味方である方が良いよ。
私は福祉関係の学校を出て福祉関係の施設に働きました。そう、当時は福祉関係は「これから良い仕事」って言われていて、「福祉関係の学校に行って施設に働いている」って言ったらすごく立派なように言われていた時代です。今となれば、「そんな時代があったのか⁈」って驚かれそうですね(笑)
働いたところは知的障害者通所施設。利用者さんが家から通ってきている施設だったので、結構家族さん…というかお母さんたちと関わりの深い施設でした。私がそこで学んだことは、利用者本人のお世話をしてるお母さんたちのフォローって本当に大切だなって言うことだったんですね。
そして、この、お世話している人のフォローが大切だっていうのは知的障害者だからっていうわけではなくて、子どもの保護者もだし、お年寄りの介護者もだし、病気の人を看護している人とか、とにかく対人面で多岐にわたる部分だと思っているんです。
ていうのが、自分たちがサービスの対象としている人に一番直接大きな影響を与えるキーパーソンであるからです。ここは見逃してはならない重要なポイントです。
きちんとラポール(信頼関係)形成できていますか?
あなたがサービスを実施する対象、つまり、この記事で言うなら児童と関わっていく上で、家庭での協力が欲しい時、また、家でのようすが気になる時、その他、伝えたいことなどがあるとしますよね?
児童に直接言っても仕方ないですから、絶対に保護者…多くの場合がその子の母親に話をしていくんですが、その時、ただ伝えるだけで良いと思っていませんか?
いえ、もちろんただ伝えるだけでも良いんですが、もっとうまく一緒に連携してやっていくためにはラポール、つまり、信頼関係がしっかりできていることが重要です。信頼関係がきちんとできていないとさほど協力的になってもらえません。
逆に、信頼関係がきっちり出来上がっていたなら、一見無理に思えるようなことも協力してもらえてできたりするんです。
そういう意味で、ただ、伝えるだけよりも、きちんと信頼関係を結んでおいた方がより質の良いことができるって言うことです。
大人の方が信頼関係を結ぶのって難しい。
「子どもの親とその子どもをみている先生」という関係だけで信頼関係って結べると思いますか?それだけでは信頼関係を結ぶことは難しいです。親だって「この先生どんな先生かな」ってみているし、日中お世話になっているとは思っているだろうけど、それで信頼関係ができるかって言ったらそう簡単ではないです。
むしろ、子どもたちとの信頼関係を結ぶよりも親と信頼関係を結ぶ方が難しい。だって一緒に過ごす時間だって短いし、接点が少ないし、親は大人である分子どもよりもシビアです。つまり、厳しい目で見てるってこと。
最初にこじれっちゃってイメージ悪くなったりしたら、取り返すのはなかなか大変です。短い接点で、的確に、早く信頼関係を結んで、子どもたちにとって良い環境を一緒に創っていけるようにできることが一番良いってことです。
信頼関係ができる前のアドバイスは
ママさんと信頼関係がきちんとできる前にアドバイスとかを伝える時は注意が必要です。アドバイスを伝えることは言い方や相手などによっては批判に受け取られる可能性があるからです。アドバイスをした本人はそんなつもりはなかったとしても。
「批判された」と相手が感じてしまったら、そこからもう一度信頼関係を結ぶことって難しい。しかも、これから伝えることも相手が警戒してしまってうまくいかなくなってしまうことだってある。相手が意固地になって全くいうことを聞いてくれなくなってしまう可能性だって否定できないんです。
もちろん相手によって違うわけですから、そこを、「この人はどういう人か」っていうのを把握しながら相手の人によってちょうど良い対応を見つけていくことが大切かな…。
たまに、「あそこの親はいつも○○で全然ちゃんとしない!!」なんて言っている人を見たらちゃんと信頼関係結べてないんだなぁって思うんですよ。ここは、プロとして、保護者もうまく巻き込んでやっていける人をめざしたら良いんじゃないかなぁって思うんですよね。文句を言うだけならだれでもできると思う…。
そこを文句を言うんじゃなくてどううまく持って行くかが腕の見せ所というか…。
だから、信頼関係がきちんとできていない状態でのアドバイスは、信頼関係をより深められるような伝え方をする必要があるんですよね。ぶしつけに言っちゃダメ。ズバッと言われたらムッとする人だって多いですから。
「味方である」というスタンス
「私はあなたの味方ですよ」というスタンスでいることってとても信頼関係を結びやすいです。だって、明らかに敵対関係になる人よりも、「この人は私の味方なんだ」って思ったほうが話を聞こうって思いますから。相手に安心感を感じてもらうこと。それが大切。
しかも、子どもに対して一緒に良い環境を創っていこうって考えるなら、「敵か」「味方か」で分けるなら、絶対に味方のはず。「敵味方」出分ける考え方がおかしいとも言えるかもしれないけれど、「この人はわかってくれる」って思ってもらうことってとても大切です。
「この人わかってくれる」と感じてもらうためには
ママさんたちに「この先生、私のことわかってくれてるわ」って感じてもらえて信頼関係を結んでいくために必要なことは、「傾聴」と「共感」です。この二つはカウンセリングだったり、対人援助技術としては当然ですね。
ママさんたちの話をしっかり聞くこと。「こういうところ苦労しているんだな」とか、「こういうところで悩んでいて、こういうところはすごく頑張っているんだな」とかを理解して、「これで苦労されたんですね」とか「ここをすごく頑張っているんですね」とか返してあげること。
その時に個人的な感情は挟まなくて良いです。ある人はすごく頑張ってやっとできたことが人によっては簡単なことだったりするので、たとえば「もっと頑張れよ」みたいな個人的な感情はいりません。そういうの挟むとややこしくなる。
プロとして、「この人はこれが難しくてここを頑張っているんだな」っていう目で見て、そのママさんにはどういうアドバイスをしたりどういうフォローをしてあげたら子どもにとってより良い環境になるかを考えたら良いんです。
味方であるスタンスは「孤独感」からも救うことができる
母親っていうのは自分一人で抱え込んでしまっている人も少なくないと思うんですね。家事もこなしながら子育てもしているわけで、それがみんなうまくいっているとは限らない。多くの人が悩みながらしていることが多いですから、孤独感を感じていることも少なくないんですよ。
「誰も手伝ってくれない」とか「誰もわかってくれない」とか。
だから、子どもと直接かかわることで接点のある先生が自分の味方であるというスタンスでいてくれると孤独感が紛れたりすることもあるわけです。わかってくれる人がいるだけで救われることって結構あるもんなんです。
そうなると、子どもに一番影響があるキーパーソンであるママの心の安定を得ることができる場合も多くて、そのおかげで子ども自身の環境も良くなる…ということもある。
逆に、ママを責めたようになってしまうと、その責められたママがイライラしてしまって子どもも不穏になるって言うこともある。責めたつもりはなくても、相手が責められたと思ったら同じことですからね。
味方であると話も聞いてもらいやすい
「この人はわかってくれる」と感じてくれていると、話も聞いてもらいやすくなります。敵対心を感じている人の話しなんて聞きたくないけれど、自分のことをわかってくれている人の話しなら「聞こう」って思えるものですよね。
ちょっと大変なことでも頑張ってみようかなって思えたりします。そうでもない人よりも確実に協力する気にもなるし。だから、何かをお願いしたりするならちゃんと関係ができてからの方が確実にうまくいきます。
必要なことはフォローしてあげると良いよね。
必要なことで、ママさんが難しいことはフォローしてあげたら良いと思うんですよ。
たとえば保育園のママさんとして、なかなか子どもを早い時間に寝かせられないとかだったとしますよね。それで、子どもが園でウトウトしていたりするとします。こういう時、「○○ちゃん、眠たいみたいなんでお家で早く寝かせてあげてください。」っていうのは素人でもできると思うんですよ、私は。そう言われたら、「わかりました。すみません。」で終わりそうでしょ。
そうじゃなくて、状況を聞き出す。「○○ちゃん、お家でどうですか?」とか。そうしたら、ママさんが「私が帰るの遅いんで、帰ったらバタバタなんですよ~」とか返事がくるかもしれないですよね。そうしたら、「なかなか早く帰れないんですね。お義母さん帰ったらご飯の用意したりいろいろ大変なんですね。」とか言ったら、「そうなんですよ!この子もなかなかご飯食べないし」とかいうかもしれないでしょ。そしたら、「そうなんですね~。夜寝るのも遅くなっちゃったりします?」って言ったら、「そうなんです!本当はもっと早く寝かせないといけないと思っているんだけど…」とかなったりしますよね。
ここで大事なのが、ママさんはもともと「早く寝かさないといけない」って思っているっていうことで、最初の例みたいに「早く寝かせてあげてください」ってズバッと言っちゃったらこのママさんの心の負担が増えるだけなんですよね。
だから、どうフォローしてあげたらこの親子にとって一番良い状態になるのかを考えることが大切だと思うんですよ。園での生活の中でフォローできることがあればフォローしてあげたら良いんです。たとえば、少しお昼寝させてあげることが時間的に可能なのであればその時間にちょっとお昼寝させてあげるとか。
「○○ちゃん、園で眠そうにしているときがあるんです。○○の時間のとき、ちょっとお昼寝もできるからちょっとお昼寝してもらうようにしてみましょうか?」とか言ったらママさんもホッとするかもしれないですよね。そうしたら「先生、こういってくれて助かった」ってなるかもしれない。
まぁ、こういうのは相手がどんな人かとか、環境がどんな状態かによって変わるものだから一概に「絶対にこうだ!!」とは言えないんですけどね。でも、私はそういうのが良いんじゃないかなって思っているんです。
「そうやって助けてくれるから、私も力になりたいって思う」とか、人ってそう言うもんなんじゃないかなって思うんですよ。
多くの対人支援に関わる人がこんな感じだったら良いな
とまぁ、今回はいつもの記事とは違って、支援に関わる人への記事を書いてみました。多くの対人支援に関わる人が、こういうスタンスで仕事をしていたら、もっと多くの人が良い環境になるんじゃないかなぁって思っています。
今回の記事は、前からずーっと思っていたことを書いてみたんですが、伝わったら良いな。
ちなみに、「保育士さんとか幼稚園の先生って若いのに頑張っているんだから…」とかいうのも見たことあるけど、もちろん若くて頑張っていると思うけど、若いからできないってことはないと思うんだ。
私自身、この感覚を学ぶことができたときは20代前半だったわけですからね。ただ、私はラッキーだった。ベテランさんに囲まれていたから。そこで、いろんなカラーのベテランさんたちの良い部分を吸収して、良い部分のかたまりになろうとしていたんですよ、その頃はね。
そう、新卒の頃、ほとんど何もできなかった私が、今でこそ、たまに「すごく仕事できる人」とか言われるようになったのも、はじめて働いたところで仕事をすることの基礎を学べたおかげだと思っているんですよ。だからとっても感謝しています。
余談
たとえばママさんとか保護者だったり家族さんとかにクレームみたいに何か言われたときって、その時こそ、信頼関係を深めるチャンスなんですよね。
そこでどう対応するかで、信頼関係を深めることもできるし、逆に信頼を失うこともある。どうしていくかを考えてうまくやっていけたら、きっと最高の関係が築いていけるはずです。
土出麻美(つちでまみ)