生活費を入れてくれない夫が不倫。経済的不安から別れないのはアリ?
夫が生活費を入れてくれない。ほかの女性との不倫もわかった。でも、子どもを連れて離婚することに経済的な不安を感じるから今の生活を続けようか…
ある朝、目を覚ましてスマホを見たときに、飛び込んできたのが冒頭の内容が書かれた記事でした。
朝からなかなか刺激的な内容。
この件について、どう考えていくのが良いのかについて、今回は触れてみることにしました。
この記事の目次
別れないのがアリかナシかは本人が決めること。でも、どうするか決断するための判断材料が必要。
★ ポイント ★
何が自分にとって一番良いのかという判断が、自分でできるようになるための情報を集める。
こういう時、どうするかを選ぶのは本人です。
不安になってほかの人に相談したりアドバイスを求めたりすることはもちろんあるけれど、「アリ」か「ナシ」かの最終決定は本人がすること。
なので、人に相談したりいろんな意見を聞いて参考にしても良いけれど、最終的には自分で決めるんだ!という、情報収集のつもりで相談するのが良いです。
相談をされた側は、客観的な意見として「こうした方が良いよ!!」とかアドバイスしたり、指示したりしたくなる人が多いと思いますが…。
「絶対にこうした方が良いよ」とか言いたくなる気持ちもわかるし、「どうしたら良いの~??」って相談したくなる気持ちも、もちろんわかる。不安だしね。
相談してみたり、意見を聞いたりアドバイスをすることも、やったらダメなんじゃなくて、最後に決めるのは本人だってことを忘れないでいることが大切なんです。
本当は人はみんな自分が納得して「これが良い」って決められることが一番良いし、心の奥底で「自分で決めたい」と思っているものです。
とはいえ、選ぶには何をどう考えたら良いかとか、どう判断していくかといった判断材料は必要ですよね。
「不安な気持ちを受け止めてほしい」っていう思いも、やっぱりあるもの。なんか言ってほしいんじゃなくて、ただ聞いてほしいとか言う気持ちだってある。
ただ聞いてほしいと思っていても、相手は何か言いたくなると思うので、ただ聞いてほしいだけの時には相手を選ぶ必要もあるのかもしれません。
今回は、少しでも不安な気持ちが解消していけるように、判断する材料が少しでも増やせるような紹介していきますね。
仮にこうなら?…例から考えてみましょう。
今回、私が見かけた記事は、朝にたまたま見かけたものなので、それを参考にしたにした細かい部分を「仮にこうだったら…」という、仮の事例として見ていきたいと思います。
状況はこうだと仮定しましょう。
・Aさんは夫と結婚して最初は共働きだった。
・一人目が生まれて子育てが大変だったのと体調不良を感じることがあり仕事を退職した。
・最初はAさんが金銭管理をしていたが、義母からお金の使い方を注意されるようになり、夫が金銭管理をするように。生活費として月12万受け取っていた。
・夫から無駄使いしていると言われ、生活費が減らされるようになっていき、ついには半分以下の月4万になってしまった。
・二人目の子どもも生まれ、これからお金が必要になるのに4万ではとても生活できないが、やりくりが悪いと言われる。
・夫の不倫が発覚し、夫は不倫相手に毎月12万を使っているようだということがわかった。
・夫の不倫はAさんが悪いと言われている。
・子どもが二人いるので経済的に不安だから夫と離婚するのは抵抗がある。
今回悩んでいるAさんの状況がこうだった仮定として見ていきます。
少し設定の要点をまとめてみます。
※ この例の状況まとめ
〇Aさんは産後体調不良から現在専業主婦。(無収入)
〇子どもは二人。一人は乳児。
〇夫から受け取る生活費が減らされていって月4万。正直足りない。
〇夫が不倫していることがわかった。
ちなみに、そんなに一般的な出来事ではないので、こうなったら「どうしたら良いの~???」って混乱しちゃいそうですが、意外に無いことないケースだったりもします。
この場合の大きな問題点は二つ
この場合、Aさんにとっての大きな問題点は二つです。
① 経済面での不安
② 夫婦関係の不安
これらの不安を解決していくことがAさんにとって必要だということになります。と言っても、②の夫婦関係の方が解消されれば①の経済面も解決できるのかもしれませんね。
大切なのはAさんと夫がきちんと話し合いができるかどうかということだったりしますからね。
お互いに自分の気持ちをきちんと伝えあって話し合うことで解決できるのであれば問題になっていない可能性もあるかもしれません。
それぞれ見ていきます。
① 経済的な不安
Aさんは夫と婚姻関係にあり、生活費を入れてもらってはいますが、どんどん減らされています。
このままもっと生活費を減らされたら…?
今の生活費だけじゃ足りない…。
というような不安が今のAさんにはあります。
人が安心して生活するためには経済的に安定していることは重要な部分の一つなので、とても不安な毎日であることが想像できますよね。
確認ポイント① ★婚姻費用(生活費)★ …夫婦は助け合わなければならない
夫とAさんは夫婦です。法律上、婚姻関係を結んでいますから、二人は助け合わなければなりません。夫婦の収入は夫婦のものです。
つまり、Aさんの夫が「これは俺が稼いできた俺のものだ!!」と言ったとしても、夫婦のものです。
夫婦はお互いの収入のうち、収入が多い方が収入の少ない方に婚姻費用(生活費)を渡す必要があります。収入が少ない方は請求する権利があります。
この婚姻費用は話し合って両者の合意で決めることもできますが、算定表と言って「このぐらいは請求できますよ」というような指標があります(養育費も掲載されています)。裁判所で参考資料として利用されているものです。★養育費・婚姻費用算定表のPDFはこちら
実際に請求するとなったら弁護士なりの専門家に相談するのが一番ですが、ここではどんなものかを当てはめて見てみるとしましょう。
Aさんの夫の年収を仮に450万円とします。Aさんは無職ですから収入は0円。子どもは二人で二人とも14歳以下ですから表13で確認ができますね。
確認するとこの通り。(養育費・婚姻費用算定表より引用)当てはまるところの色の帯で見ます。
Aさんは月に8万~10万の婚姻費用を請求することができます。別居していてもです。
(家賃は…とかいろいろあります。例えば、同居の状態であればAさんと子どもたちの生活費として8~10万円だから、かかってくる生活費には夫の食費や家賃もかかってくるわけですからどうなるかとか話しあいが必要になりますよね。別居であればここに家賃なども含まれることになりますが…。)
もしも検討するのであれば、きちんと専門家に相談するのが一番良いです。収入がないのであれば法テラスなどを利用することもできますし、行政が実施している無料の法律相談などを利用してみる方法もあります。
何よりも子どもたちの今後のことも考えて、月の生活費が実際にどのくらい必要であるか話し合えることが一番良いのですけどね。
確認ポイント② ★養育費★ …離婚を考える場合
もしも夫婦生活を続けることが嫌だと思う場合で、Aさんが子どもを連れて出ていこうと思う場合は養育費を夫から受け取ることができます。(その他財産分与や年金分割などもあります。詳しくは法律相談など専門家に相談を。)
養育費については未払い問題があるので、公正証書や離婚調停など、法的な手続きできちんと受け取る約束をしておくことが大切で、こういった手続きをしておくことで未払いになった時には裁判所に申し出ると強制執行ができるようになります。
強制執行とは夫の勤務先に申し出ることで給料から強制的に養育費が差し引かれるなど、差し押さえができるようになります。(自営業のように強制執行できない場合があるなど、万能ではありません。詳しくは専門家に確認してください。)
この養育費についても、両者の話し合いで決めるものではありますが、先ほどの算定表で基準額の確認ができます。
確認してみます。Aさんの子どもたちは二人とも14歳以下ですから、見る表は「表3」になります。
先ほどと同じ要領で夫が450万円、Aさんが0円だとすると、6~8万円が受け取れる養育費となることがわかります。(養育費・婚姻費用算定表より引用)
実際にどのくらいになるかは話し合って決めることですが、だいたいこんなものなのかな…?という予想はできるわけです。(弁護士などの専門家にも相談してくださいね)
《 補足★》
離婚時に法的な手続きをしていなくて、養育費を受け取れていない場合も、子どもが20歳になっていないのであれば請求ができます。相談してみてください。
確認ポイント③ ★慰謝料もらえるか★
今回、Aさんの場合は夫が不倫をしているということがわかっています。
この場合、夫の相手の人が既婚者と知って不倫をしているかどうかなど条件によっては婚姻を継続したままであっても(離婚しなくても)慰謝料が請求できるかもしれません。
離婚をするとしても慰謝料を請求できると考えられます。(夫からと相手からの両方から慰謝料とかも考えられるのかも…?)
どちらの場合であっても法律の専門家に相談するのが一番確実です。
② 夫婦関係の不安
Aさんは夫に不倫相手がいることがわかってしまっています。
本来、夫婦で助け合い、愛し合って家庭を築いていくはずのものが、夫の気持ちがほかの人の方に向いてしまっていますから心穏やかではいられないでしょう。
このまま夫婦としてやっていくの?
子どもはどうなるの?
夫は不倫相手のもとに行ってしまうのでは?
私はどうなるの?
などなど…。経済的な部分も含めて、多くの不安を感じるはずです。
確認ポイント ★対等に話し合えるか(本人が納得できるか)★
ここで大切にしたい確認ポイントは、Aさんと夫が対等な関係として話し合いができるかどうかです。
「話したいことに全く耳を傾けてくれない」とか、「怖くて何も言えない」とかだと対等な関係とは言えません。となると、Aさんにとっては毎日の生活が苦しくなってしまう可能性があります。
Aさんがもしも、対等な関係でなくてもいいから一緒にいたいと望むのであれば、決めるのはAさんです。Aさんが納得する方法を選ぶことが大切ですから。
《 二人の関係が対等ではなく、どちらかが支配的である場合はDV 》
夫婦や内縁関係・恋人同士などの深い関係にある二人のうち、どちらか一方の力関係が強く、一方が弱くて相手に従わなければならない状態のことをDV(ドメスティックバイオレンス)と言います。
※DVとは殴る・蹴るなどの身体的暴力のことだけではないんです。
相手のことが怖い・相手の言うとおりにするしかできない場合、DVの可能性があります。
DVかも?と思ったら相談窓口に相談を。
考えられる選択肢は大きく4つ。
Aさんがこれから選んでいく選択肢は大きく4つあると考えられます。
① 関係の修復を目指す。
② 今のまま暮らす。
③ 別居する。
④ 離婚する。
これら、選択肢の中から、Aさんにとって一番良いと思うもの(不安が解消される方法)を選んで、それに向けて進んでいくようになります。
どう考えて何が一番良いのかを選択していくのか、過程がとても大切。
それと、どれを選択するにしても、夫がどうするのかということも影響してきます。話し合いが必要なことも多くあるかもしれません。
それぞれ見ていきます。
① 関係の修復を目指す。
一つ目は夫と関係を修復しようとすることです。
この場合、夫は不倫相手がいますので、夫には不倫相手と別れてもらって、夫もAさんと関係を修復しようと思ってもらう必要があります。
話し合いして、お互いに納得して、「やっぱり二人で子どもたちを育てていこう」ってなることをゴールとして目指します。
この方法は夫婦できちんとお互いの意見を話し合う必要がありますし、生活費についてもきちんと話し合ってお互いに納得できる結果を導いていく必要があります。
これを選択した時に考えられるメリット・デメリット
これを選択した場合のメリットは、うまくいったら家族関係をつぶすことなくこれまでの関係に戻れることです。
夫婦そろって子どもを育てていくことができます。
デメリットは、これを選択したAさんにモヤモヤが残っていた場合に生活していくことが嫌になってしまうかもしれないこと。
夫が不倫相手と本当に別れてくれない可能性もあり得ること。
きちんと話し合いをして、公正証書などの法的な拘束力のあるもので約束を交わしていくことも必要かもしれません。
《 修復を目指すうえでのポイント 》
✓ 夫と話し合う時間をとって、関係を修復したいことなどをはっきりと伝える。
✓ 今後の二人の生活をどうしていきたいかを伝えて話し合う。
✓ 自分自身の感じている不安なども伝える。不安が解消できる形を目指す。
✓ できるだけ感情的にならずに話し合うことができるようにする。
✓ 生活費について必要となる金額を具体的に伝えて、どのくらい必要か、今後の子どもたちの教育費などについても具体的な金額を出して話し合う。
② 今のまま暮らす。
今のまま、何も言わず、不倫をしていることに関しても生活費に関しても何も言わずに暮らし続けることもできる選択肢の一つです。
不倫していることも気にならないし、生活費の足りない部分は自分で働くから気にならない!というような人はこの方法があってるのかもしれませんね。
この場合に考えられるメリット・デメリット
この場合のメリットは、Aさんが夫と話をしたりというような行動を起こさなくて良いこと。
今の生活と何ら変わらない生活を送れるかもしれないことです。変わらないことがメリットだと思うのであれば。
デメリットは、夫婦関係が破綻しているのでこれからどうなるかわからないこと。
生活費が今後同じように受け取り続けられるという保証もないことです。
今はこのままで、タイミングが来てから変える…という選択をすることもあるのかもしれません。
《 今のままを選ぶときのポイント 》
✓ 自身が感じている不安をどのように解消していくかを考える。本人が不安も不満も感じないのであれば問題はありません。もっと問題が出てきてから対処するのでも、本人が良いのであればその選択をしても良いのです。
(不安の解消例)
・生活費に関しては自分が働いて収入を得ることで解消する。
・生活費の金額を交渉する
・ポリアモリーのような関係を築く。
・割り切る。
…など…
③ 別居する。
夫とは離婚はしないけど、とりあえず別居するというのも選択肢の一つです。
別居するときにも方法が二つあって、いきなり勝手に出ていって別居する方法と、夫と話し合って「別居する」と伝えてから家を出ていって別居する方法があります。
この場合のメリットデメリット
別居をすることのメリットは、夫と同居したままよりも一度離れることで冷静になって考えることができる可能性が高いこと。
「離婚しなくても、子どもたちと自由に暮らせるから別居生活のままで良い」と考える場合もありますし、一時的に別居してみて、やっぱりともに暮らすことを選ぶ場合もあります。
しばらく別居して考えてみて、離婚しようと決意が固まることもあります。
別居してみて夫がどうするか様子を見ることもできます。
デメリットはどのように別居し始めたかによっては戻りたいと思っても戻れない状況になる可能性があること。
夫が怒ってしまう可能性があることです。
《 別居を選ぶときのポイント 》
✓ この先のこと、夫との関係などを考えて、いきなり家を出ていくのか(別居することを伝えずに家を出ていくのか)、しばらく別居したいことを伝えて話し合ってから別居を開始するのか、をよく検討する。
④ 離婚する。
「夫婦としてやっていけない!」そう考えて離婚するのも選択肢の一つです。
夫は不倫しているし、生活費も十分にもらえていないのですから、これを選択したくなるのもおかしくないですよね。
この場合は、子どもの親権をどうするのかとか、養育費のこと、また、子どもとの面会をどうしていくかについて、財産分与や年金分割など…、いろいろと話し合って決めておく必要が出てきます。
法律にかかわることなので、先に紹介した、法テラスの法律扶助などの利用や、お住いの自治体が実施している無料の法律相談などを積極的に利用して、自身の状況にあったアドバイスをもらうのが一番確実です。
これを選択した場合に考えられるメリット・デメリット
これを選択した場合に考えられるメリットは一番はっきりスッキリすることでしょうか?
不倫をしている夫とモヤモヤしたまま続けることもなく、自分の意思で決定して生きていくことができます。(婚姻関係を続けていても、本来は自分の思うように生きてて良いはずなのですが、家族としてどうしてもある程度は制約がかかってくるかもしれません。)
この場合のデメリットは非常に時間がかかってしまうことです。
決めなければならないことがたくさんありますので、きちんとしておかないとあとからもめたり、あとからだと何も言えなくなってしまうこともあるので、しっかりと決めてしまってから離婚をすることが大切です。
《 離婚を選ぶ場合のポイント 》
✓ きちんと決めて決着をつけておいた方が良いことがたくさんあるので、必要となる情報を集めて、自分がどうしたいのかをきちんと伝えて決めていくことが大切です。
✓ 公正証書を作成したり、離婚調停をするなどして、大切なことは法的な手続きを踏んでおくようにした方が安心です。
まとめ:どうすることが自分にとって一番良い選択であるのかを選んでいくために情報収集をするのがおススメ。
結婚して子どもが生まれて…となるとライフスタイルが大きく変わりますが、それだけではなく家族関係もどんな変化が起こるかわかりません。
だから、状況の変化に応じてどうするのかを決めていくことが大切になるのです。どうするかは自分で決めたら良いけど、決めるために知っておいた方が良いこともたくさんあるものです。
この記事が、一番納得できる状態はどれかな?と選んであなたらしい生き方ができる助けになれば幸いです。
無料で提供されている相談窓口もたくさんあるので、納得できる情報収集をしてくださいね。
余談… もしも自分だったら…?
もしも私がこの立場になったとしたら…と考えてみました。
その状況になってみないと細かいことがわからないからどう判断するかはわからないですが、今の感覚であれば…
パートナーにすでにほかの人がいて、生活費ももらえずに「お前が悪い」とか言われるんだったら、しっかり慰謝料と養育費(もちろん親権も)いただいて別々の人生を歩む道を選ぶんじゃないかな?と思います。
その方が気楽そう…
わからないけど。
あなたなら、どうしますか?
それでは。
土出麻美でした。